前回までのお話はこちらから👇
痛SAW
さて、今回はスプラッタ回である。
体が傷つく話や痛い話が
割とたくさん出てくるので、
苦手な方は恐る恐る進んで
無理そうだったら途中でやめて欲しい。
例によって私がクラブ店員だった時代、
特に私がフロントをやっていた時代の話である。
大体地方のクラブ店員は、
東京の様にいきなり分業制なんぞできないので、
1番最初にバイトとして入ったら、
まずはホールスタッフから始まり、
そこからバーカウンターでドリンクを作る係、
ホール全体を見るマネージャー係、
それが終わればVIPの接客、
そして最終的にはお金の管理を任されるフロント
という立ち位置にステップアップしていく。
私もさすがに6年間やっていたので、
最後の何年かはもはやフロントの住人として
毎週いらっしゃいませいらっしゃいませしてきた。
その中でも中々の修羅場具合、
痛さ具合のものをご紹介していくわ🐍
半グレの修羅場
さて、まずは半グレの人達が
群雄割拠していた時代の話である。
当時よく遊びに来ていた、
繁華街のボス的存在のキャバクラのオーナー
がいたのだが、
その日も部下たちをたくさん引き連れて
うちの店に遊びに来ていた。
基本的に部下の人達はかなり血の気が多く、
喧嘩の種があると喜んで飛びかかっちゃう様な
狂犬ばっかりだったのであるが、
その時は珍しくその中では大人しめの部下の人
がちょっと揉めかけていて、
(うろ覚えなのだが、確か
相手は本職の下っ端みたいな奴だったと
記憶している、定かではない)
まるでこうなることが
当たり前だったかのように二人は魅かれあい、
すごくスムーズな流れでバーカウンターの
真ん前で殴り合いになった。
みなさんバーカウンターにある
一番凶器になりそうなものといえば、
何を思い浮かべるだろうか??
_______正解!!!!
そう!!!酒ビンである!!!
ただ、みなさんはドラマや映画を見すぎていて、
なんとなく間違ったイメージが
定着しているはずだ。
酒ビンはテレビで見るようには、
あんなにガッシャンガッシャン割れない。
あれは割れたり、体に当たっても
危なくないような素材で作られている偽物である。
実際の酒ビンは床に落ちても
そう簡単には壊れないし、
人を殴っても割れる事はなかなかない。
(よく料理で肉を叩く時に、
サランラップを敷いてその上から
ビンで肉たたきの代用として叩く
ということをやるが、同じだ。
人間の体も外側は肉でできている。)
ただその時はまさかなのだが、
瓶が割れてしまった。
私は最初の一撃から見ていたわけではないので
定かでは無いのだが、
おそらくカウンターに置いてあった
ウォッカのビンをカウンターの角に
思いっきり叩きつけ、
そして割れた瓶でその部下の人の
肩のところを殴ったと思われる。
考えなくてもわかると思うが、
割れた瓶で殴られると、出血がすごい。
動脈をやっちまえば人はすぐに死ぬ。
この時はさすがに大事になり、
警察も現場検証に入り、
我々も悲しい&複雑&ショックな
気持ちで後片付けをしたのだが、
あまり詳しくは描写できないが
バーカンの前は血だらけで、
床の血を落とすのに
だいぶ時間がかかった記憶がある。
その人はもちろん病院送りになった。
一応命に別状はなく、数か月で退院したそうだが、
個人的には、人間ってすぐ死ぬかも、
と思った事件であった。
本職の修羅場
さて次は半グレではなく、
本職の人がガチ切れしたときの話である。
この時はイベントでそこそこ人が入っていて
お客さんもなかなか酔っ払っていた記憶がある。
私はもちろんフロントに入っていて、
VIPはその本職の人たち数名が入っていて、
同じくなかなか酔っ払っていた。
これは基本的に
どの業界でもあることだとは思うのだが.
1番トップの人間と言うのは
そう簡単には表には出てこない。
だいたいは手下の人間、要は
1番トップの人間を守ったり
噛ませ犬になる役割の人間が必ずいて、
普段はおとなしくしているが、
なにか揉め事が起きたら、
真っ先に彼らはボスとボスのメンツを
守るために動くという役目があるのである。
ただその時はなかなか事態が収束しなかった。
本職の偉い人を仮にBさんとする。
この時もちろん絡み絡まれ、
先に戦闘モードになったのは
ナンバー2の人だったが、
彼らをなだめるために
Bさんがまあまあなどと間に入り
(絶対ちょっと暴れたかっただけだと思うけど)
相手が本職などと知る由もない
いきったパンピーは止まらず、
なかなか収拾がつつかない事態に
なってしまった。
ところでクラブに行ったことがある人は
1度は見たことがあると思うのだが、
立ち入り禁止ゾーンや
スタッフオンリーの場所と通路を仕切る、
腰ぐらいまでのポールが
どこの店にもあるはずである。
シートベルトのような
伸び縮みする素材のタイプや、
金属のポールなど
(多分真鍮で作られているもの、超重い)
タイプは様々なのであるが、
大変残念なことに、
うちの店で使っていたのは皆さん既にお察し、
金属のポールであった。
キルビル2
そのポールは普通に3キロぐらいはあって、
そう簡単には倒れないポールなのだが、
Bさんはそのボールを
まるで日本刀のように振りかざし、
その調子に乗った一般人の肩の部分を
袈裟切りのように殴ったのである。
キル・ビルを見たことがある人はわかると思うのだが、
暗いクラブの店内で
ああいう立ち回りをするのは(もはや殺陣)
さながらルーシー・リューのようであった。
で、まさかあんな風に血が
ドバドバ出るわけではなかったのだが、
普通に肩からダラーっと出血はしていた。
そして、相手がやべえ奴だと悟ったそいつは、
私のいるフロントへの狭ーい隙間から
なんと私の横まで逃げこんできたのである。
「警察…警察呼んでください…警察…」
と目を血走らせ、
私に訴えかける彼だが、
本当マジでガチでリアリー申し訳なかったのだが、
当時私は完全に店のことしか考えていなかった。
正直な話、喧嘩する奴は全員死ね
ぐらいは思ってしまっていた。すまんな。
なんでかというと、以前にも書いたのだが、
ここで警察を呼んでしまうと、
今日の営業が完全にストップし、
売り上げはパア、
ただでさえ減ってきている客足は
「危ないハコ」になるとさらに減ってしまい、
現場検証にも入ると
店を閉める作業も後ろ倒しになる。
売り上げはないのにバイトは
掃除が残っているので上がれない。
人件費は莫大にかかる。
マジで良いことゼーローなのである。
まあそのような総合的判断を勝手にして、
私はとりあえず店長にインカムで
(警察呼べってリクエスト入ってます、)
とだけ報告し、
そいつにはとりあえずおしぼりを渡し、
止血をしながら
「ちょっと呼べないっすねー、
携帯で救急車呼んでもらって、
下に下りてもらえます?(店は6F)」
と限りなく冷たい対応をした。
今考えたらありえん対応だが、
当時はいちいち客に答えていたら
店が潰れてしまう戦国時代だったのである。
さらに時間を稼ぐ必要もあった。
しかしそいつはそんな私の対応にもめげず、
「お願いします…警察……
あいつおかしいでしょ?!」
とBさんのいる方をチラチラと
気にしながら顔面蒼白で再度お願いをしてくる。
そうこうしていたら
Bさんがフロントまで追いかけてきた。
そしてそいつにオラァと怒号を浴びせるも、
女の私がいるため攻撃はしてこない。
私は全力で
(男手が足りん、何を手下に人を割いている、
ボスが暴れているぞ)
と心の中でスタッフに念を送りながら
まあまあまあとBさんをなだめ、
集まってきたスタッフたちが何とか
BさんをVIPに戻すまで
全力で笑顔をキープし、
柱の死角に隠してあった流血野郎を
店長に引渡し、なんとかその日はおさまった。
被害届出すと相手はこうだからこうなって、
あまりいいことがないよ、という
大人のお話を聞くと彼は逃げるように
去って行った記憶がおぼろげにある。
修羅場たち
本当はあと、一般の方の
超痛いエピソードもあるのだが、
ちょっとコンプラ的にあまり言えない
内容なので、残念だが割愛する。
全然慣れたくはなかったが、
人が喧嘩しているところや殴る、
という修羅場を見ると、最初は
キャー!とかひいっ!とか思っていたが、
店を守らねばならんという意識が強くなるにつれて、
冷静に見てどう対処するか、
ということを考える癖がついたのは
いいことだったかもしれない。(?)
あとこれは豆知識なのだが、
喧嘩になる前のめちゃ早い段階で
女性が一瞬間に入ると割と鎮火できることが多く、
二人が見合った瞬間に、相撲の行司さんのように
間に入り、
より血の気が多そうなほうの胸元を
ぺちぺち叩いて、こっちみて!こっち!
とアピールしてそのままテキーラを飲ませて
仲良くなり、揉めたらこの店員に申し訳ないか…
という人の心を取り戻す
キャンペーンもよく行っていた。
参考になる気は全くしないが、
これから皆さんの何かに役立てていただければ
幸いであります。
終わり!!