プロフ詐欺に衝撃を受けたときの話

さて

マッチングアプリの出会いで

過去1衝撃を受けた時の話をする。

それまでのエピソードは

マッチングアプリを始めたきっかけを見てね。

そもそもマッチングアプリにおいて、

写真と実物が違うのは割とよくある話で、

一般的にこれが激しいのはむしろ女性の方だと思う。

(男性は”ナチュ盛り”という技術がまだ未発展)

「snowで盛った写真のユーザーを

 フィルタリングで表示しないようにする」、

などの新手の機能も登場しているぐらい、

みんな盛っているのは当たり前のことなのだ。

(ちなみに私は写りがいい写真と、

 そうでもない写真を半分ずつぐらいのせていた。

 大体この中間かな、と想像させて、

 実際会ったら思ったより可愛かった、

 という印象を与えるためのイメージ戦略のもと、

 プロフは練られていた。)

そんな中、1人だけ過去に、

マジかよ…逆にどうやって撮ったのか教えてくれ、

という奇跡の”プロフ詐欺”の男性がいた。

ある初夏の夜、

六本木ヒルズの5Fにある某レストランの入り口で、

私は不安と期待で

複雑な心境になりながら彼を待っていた。

____そもそも私がなぜ彼と会う気になったのか、

というところから話そう。

それは、彼のプロフのトップ画であった。

若干右斜め上からバストアップの彼が写っていて、

なぜかうすーーくキラキラの加工がされていた。

当時男で自分をキラキラに彩る人はなかなかいなかった。

最近SNOWを使う男性は増えてきたが、

当時はそんなものは無かったのである。

(このダサくてうすーーいキラキラってことは、

 年齢を詐欺ってはなさそうだな…

 しかし、割と年くっているわりに

 顔はジャニーズ系のイケメンだし、

 なんだろうこいつ…本人か?

 そうだとしたらタイプ分けできない…新種?)

それが初めてプロフを見たときの感想だった。

関連:マッチングアプリのプロフ写真あるある

今の私だったら0コンマ1秒で

ごめんなさいしていただろうが、

なにせ当時の私は「まず見てみてから判断する」

という経験主義であった。

彼は本当に今までのタイプ分けのカテゴリーに

存在しない”新種”だったのである。

彼が本当にタッキー似かどうか

確かめてみたくなったのだ。

テラフォーマーズである。

じょうじ。じょう。

結果的に、判断したポイントだけは

どんぴしゃ合っていたのだが、

彼は、会うまでのメールでのやり取りは、

簡潔かつ紳士的で丁寧だった。

仮にルックスがひどくても、

大人としてちゃんと話はできそうだな、と思い、

本命の予定の3時間ほど前に

そのキラキラ男との予定をぶち込んだ。興味本位で。

Trahison~裏切り

そして当日、少し不安な私の前に、

エレベーターから現れたのは、

小室哲哉ゴミ箱

を足して2で割ったのを薄めて、

胡散臭さをプラスした、

華奢で小柄な男性だった。

    

大変失礼な表現であることは百も承知である。

まず、

(顔ちげええええええ!!)

というファーストノート、

そして、

(なんでこんなに

 清潔感がないんだ?)

というセカンドノートがきた。

どこかのブランドだったら

「裏切り」とかいう名前の香水

として売り出しそうである。

”奇跡の一枚”という言葉は

今ではだいぶん浸透しているだろうが、

彼の場合は奇跡のレベルがかなり高かった。

実物から考えると、

あの写真はマジでイエス・キリストが蘇ったぐらい

元祖中の元祖レベルの奇跡を起こしていた。

プロフでは滝沢秀明に似ているといっても

過言ではなかったのに、

マジでどうやって撮ったのだ。ざわちんか。

ジーザスクライストである。

いや、こっちの話である。

ところで彼の印象を決定的に

悪くしていたのは、”髪”であった。

(この時に私は女は髪が命

 という意味を身をもって悟った。)

彼の髪はベトベトで、

もはや「髪の毛」ではなく「髪束」になっていた。

漫画などで、

よく登場人物がギザギザの

前髪で描かれることがあるが、

「マジでギザギザだ…」

と思ったのをよく覚えている。

あまり細かく描写したくはないのだが、

肩にたくさんフケも落ちていて、

会ってから1分で私はもう帰りたくなったのであるが、

流石に失礼か…と思い、

カオナシよりも顔のない状態で席に着いた。

ア…アア…。

席に着くと、若干距離も取れたせいか、

少しは落ち着いた。

お酒と料理を頼んで、彼はあまり食べなかったので、

この生ハムぜんぶ私が食べちゃうけど

いいのかなと思った記憶がある。

(生理的な嫌悪感は

 トングの使用と気合でなんとかした。)

南極物語

会話はとっても紳士的、

浅く表面的でスムーズかつ氷点下の温度で進められた。

確か彼は30代後半で、

芸能だか音楽系の事務所でプロデューサー業的な

ことをしていたと言っていたような気がするが、

どれだけ立派な仕事内容を言われても、

「でも、シャワーを浴びる

 時間はなかったの?」

というセリフが出そうになるのである。

自宅も近くにあるそうで

(隣のビル?だとか言っていた)

犬を飼っているとも言っていたな確か。

フジモンのネタで、

何にでも「顔がでかいからや!」

と突っ込むというキャラがあるが、

あのときの私はフジモンよりも激しく

「シャワー浴びんからや!」

と突っ込んでしまいそうだった。

そして、会話に集中できない私は徐々に、

心の中で「この時間はなんの時間ですかあ~?」

という、自習中にふざける生徒を発見したときの

ネチネチした先生状態になっていったので、

会話を少しだけ掘ろうと努めた。

しかし内容はさっぱり覚えていない。

そんな記憶しかない。本末転倒もいいところである。

1時間程度経った頃、もうネタ切れだ…と思ったので、

できるだけ失礼にならないように、

ささっとこの場を切り抜けようと、

次の予定がありますアピールをしたところ、

割とスムーズにお会計まで流れができたので、

私はホッとした。

当時大学生で、地方から来ていた私にはありがたいことに、

お会計は彼がしてくれた。

ナスカの地上絵か

 

そして、ごちそうさまでした、

とレスランを出てヒルズを出るまでの時間、

ここで世界最大の謎が起きるのである。

今思えばあのレベルの奇跡を起こす人である、

謎もハイレベルであった。

席を立って彼の後について歩こうとした時、

彼は腕にスキマを作りながら、

  振り返ってこう言ったのだ。

「僕も大人だから、

 あなたの気持ちは

 わかっていますよ。

 ……だからほら、

 つかまってください」

この時、

私史上最大の『?????』が頭上に現れた。

(え、冷めた心は悟ってるから

 せめてもの冥土の

 土産的な事?!

 いや逆に私が好きだと

 思ってるから

 つかまれって事?!

 どっち?!

 ていうか何これ?!

 エスコートハラスメント?!

 エスハラ?!

 そんな単語あるかい!!

 シャワー浴びんからや!!

 じょうじ!!)

一瞬で様々な思いが駆け巡ったが、

結局私は口で『ウィ』の形を作って微笑み、

そのスキマに手を差し込んだのである。

その後、イライラ棒のように

彼の腕にできるだけ触れないようにしていたら、

「大丈夫ですよ、ちゃんと

 つかまってくださいね」

とダメ押しされ、

死期を悟ったのは言うまでもない。

あの日森ビルの広さをここまで痛感した女は

多分他にはいなかっただろう。

「飯食わせてもらったせめてものお礼」は時として、

予想だにしない形で牙を剝くものである。

皆さんもお気をつけあれ。

そんな話。

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