音楽に関しては
あまりに書くことが多すぎるので、
音楽を私が小さいころはどうやって掘っていたのか、
今はどうやって掘るのか、という話について、
一般ピーポーの私が書くのはおこがましいが、
少しお話ししていこうと思う。
ベースとしての「耳」
まず、私は5歳の頃から高校を卒業するまで、
ピアノをずっと習っていた。
絶対音感などはないが、ある程度
「音」とか、「メロディーのパターン」
というものについて、聴いたらああこの曲ね、
とわかるような聴き方のベースができていた。
ちなみに私の父は、
70〜80年代から現在にかけての
洋楽ロック、たまにポップスのフリークだったので、
(デュランデュラン、ポリス、ジャーニー、
TOTO、フォリナー、ヴァンヘイレン、
ブラックサバス、エアロスミス、ディープパープル、
ツェッペリン、デフレパード、ボンジョヴィ、
ガンズ、クイーン、AC/DC、EW&Fなど)、
小さいころから父とドライブ中は、
イントロ当てクイズや、
このボーカルはなんてグループでしょう
的なゲームをして遊んでいた。
母は、アメリカンポップスから
邦楽は渋目のシティポップなどを聴いていた。
竹内まりや、山下達郎からマライアキャリー、
セリーヌディオンやエンヤ、
八神純子や初期のドリカム、MISIAなど。
アイドル路線のものはかなり少なかった。
(ちなみに父の学生時代、実家の納屋の
トイレに勝手にKISSのポスターを貼った結果
ひいばあちゃん腰抜かし事件は以下に書いている。
初めての
さて、私が初めて自分で買ったCDについてだ。
私が小学校高学年~中学二年ぐらいの当時、
母が契約していたWOWWOWかBSの番組で、
深夜にEXILEのライブ特集をやっていた。
そこでsong for youという曲を聴いて
いたく感動し、そこからEXILEファンになった。
当然、初めて買ったCDはEXILEのベスト盤であった。
(もし、家にマライアのアルバムが
存在していなかったら、
多分マライアを買っていたと思うのだが、
やはり若者は文化を追うものである)
中坊の私は毎回アルバムを買う
お金なんてもちろんなかったので、
ツタヤのようなレンタルショップで、
『CDレンタル一枚100円』の時をめがけて、
とにかくまとめてアルバムをかりまくる、
という手法で音楽を聴いていた。
アルバムはすべからくPCに入れられ、
ウォークマンに落とされて私の耳に
低音ばっちりの音質でお届けされるのである。
みいつけた
さて、その手法が結果的には
ハイパー功を奏したのであるが、
まずアルバムで借りると、アルバムの中で
必ず「お気に入りの曲」が数曲出てくる。
当時好きだった安室ちゃんやクリスタルケイの
アルバムの中でも、EXILEのアルバムでも、
もちろんお気に入りは出てくる。
そこで、アルバムのライナーノーツや
クレジットを眺めるようになる。
そう、ある時、
私は発見したのである。
「私のお気に入りの曲、
全部同じ人が作ってるっ…!!!」
そうなのである。
今となってはEXILEの、I WISHが
レコード大賞をとってそこそこ有名になったが、
T-KURAとMICHIKO夫妻という、
日本人なのにもかかわらず、めちゃくちゃ
黒くてグルーブのある渋い音を作り出す
プロデューサーがいるのである。
クリスタルケイや安室ちゃんのナンバー、
他のアーティストも多数提供をうけているが、
見つけてからはもう楽勝である。
その人たちが関わっている楽曲を探せば
おのずと自分が気持ちいい曲に出会えるのである。
soweluなど、彼女はそこまで好きじゃないが、
彼女の曲で彼らが作っているものが
たくさんあるので聴く、ということもあった。
そこまでメジャーではないが、
DOUBLEやSOULHEADなど、
曲を作る天才たちに巡り合えたのも、
「誰が作っているのか」に
照準を当てて探っていった結果だともいえる。
(BabyfaceなどはDOUBLE姐さんが
完璧なカバーをしてくれていたおかげで
認知されたのである)
レンタルビデオ屋の陰謀
さて、一度に何十枚も
アルバムを借りるとき、
あなたなら何を借りるだろうか?
何枚かは絶対借りたいやつ、
これは「ジャケ借り」して、
あのアーティストのアルバムも何枚か、
あとは…
「1枚100円だし、これも借りてみるか!
オムニバスなら色々聴けるしな!!」
…そう、これが田舎の1中学生の人生を
今後大きく変えることになるとは、
地方のしょぼいレンタルショップ、
アリオンの店員も予想だにしなかったであろう。
当時、「WHAT’S UP!?」という洋楽の
その年のヒットナンバーを集めたオムニバスが
ユニバーサルから発売されていて(今でもあるが)、
当時出だしのリアーナのポンデリプレイや、
クリスブラウン全盛期、
ピットブルが手堅く
ダレダレ言って腰を振り続けている、
そんなポップス最盛期に私の青春は
バチコーンとドはまりしたのである。
アーティストを掘る
さて、その借りてきたアルバムの中で、
めでたく私は,
Mary.j.bligeやビヨンセ、
MYAやクリスティーナミリアン、
アシャンティやキーシャコール、シアラなどの
黒人系女性R&B歌手たちを筆頭とした
今に至るまでの耳を作るアーティスト達と
出会うことになったのであるが、
(デスチャやTLC、SWVなどの
ガールズグループを掘るのはもう少し後のこと)
それぞれのアーティストの過去のアルバムを
すべて網羅する、これが私のレンタル作戦に
加わることとなった。
邦楽と比較しても、
やはりアーティストの歌唱力や個性が強い分、
過去のアルバムを聴いても聴きおとりしないし、
曲のパワーがすごく、
高校に入ってダンスに
興味を持ち始めていた私は、
ダンスミュージックにドはまりした。
一人のアーティストの曲の変遷と、
歴史を追うことで、曲に対する愛は
相当深まる。
予習なしでライブに行くより、
アルバムを聴きこんでからライブに行く方が
1万倍楽しいのと一緒である。
サンプリングの登場
さて、お察しの通り、
私は耳が良いのであるが、笑
洋楽たちを聴きこむ最中に、
印象的なフレーズが耳に残り、これは何だろう?
どっかで聴いたことある気がするなあ…
という事態が多発した。
更に、ビヨンセやマライアなどのアルバムを
聴きこんでから、邦楽の新発のR&B
のアルバムを聴いたとき、
「あれ…?なんかこれパクリ?」
と思うものと、
「これどっかで聴いたような気がする!
でもめっちゃいい曲!!」
と思うものの差を感じるようになった。
(ドリカムはある意味天才だ。)
で、ここでも活躍したのは、
ライナーノーツと
BSの音楽特集であった。
ライナーノーツに関しては言わずもがな、
たとえばアシャンティの「foolish」、
これがDeBargeの「Stay With Me」の
イントロ部分を引用しているとか、
同じネタがマライアの
「I’ll Be Lovin’U Long Time」では
大サビ部分が使われているとか、
そういう『つながり』をしっかりと教えてくれるし、
それをもとに、今度は元ネタの
アーティストを掘っていくと、
あれ、めちゃめちゃいろんな
フレーズ使われてるじゃん!!
という発見があるのである。
ちゃんとしたライナーノーツは最高。
そういったものを書いている人は
ラジオDJや音楽誌の連載などを
していることも多いから、そっちを攻めても
情報はたくさん得られて最高である。
話がそれたが、BSの音楽特集、これである。
これは私のヒップホップという音楽への
入り口になった。
その時特集されていたのは、確か
黒人女性歌手の変遷、というもので、
Mary.j.bligeの語りをもとに、
それまでホイットニーやマイケルなどの、
黒人が「ポップス」というジャンルに留まっていた
ところから、ソウルからヒップホップというものを
手にし、やがてジャンルを席巻するまで、
彼女が変えた音楽史について、そして後半は、
その中で出てきた「ビヨンセ」という人間のすごさを
いろんな大物プロデューサーへのインタビューも交えて
語る、的な番組であったが、
そのなかで「Real Love」、
この曲がどのようにして作られたか、
もうわたしはこん時目からウロコが
飛び出しまくって大変だった。
というのも、当時の私には
「ビートのサンプリング」という概念
がなかったのである。
今でこそHIPHOP再生と最盛の時代で
あろうが、ピアノとメロディから入った私には、
「リズムのパターン」がある、
という考えなどなく、音楽はメロディが全てだと
(今になってもちょっとそれはまだ思うけど)
思っていた。
マーク・モラレスの方だったと思うが、彼が
「Real LoveのビートにはTop Billin’
のここのフレーズをサンプリングして~、」
と普通に喋っているのを、幼い私は
(えっ!!!!リズムもサンプリングっていうんだ!)
(そんな風にして作るんか!!マジか!!)
という驚きとともに見ていたのである。
そこからビートに意識を向けるようになると、
ヒップホップという音楽が、
なんちゅー最高な音楽じゃという風に変わっていく
のである。不思議なことに。
やがて元ネタへと
そう、そしてそうなっていくと、
元ネタを発見した時の喜び、そこには
メロディもビートも、という
快楽のジャンルが複数生まれることになった。
先に知っている「自分の好きな曲」
が、実は好きなフレーズがこの古典からでした!!
しかも元ネタの方がめっちゃいい曲で~す!!
なんてことになっていくのもこの時からである。
そして大学でクラブ店員となった私は、
「DJのPCをこっそり見てなんていう曲か見る」
「暇なときは直接聞く、曲名メモる」
「アナログ盤のDJにはむしろ積極的に話しかける」
「シャザムはある程度は使えるけどやっぱDJ」
というテクを覚え、
更にザクザクと耳を耕していくことになる。
ふうー!一気に書いてしまった。
最近では他人の好きな曲のパターンなども
わかり始めているので、
わたしはもっと高みに行けるはず…っ!!
燃やせっ…!!
小宇宙を燃やすんだ…っ!!
とまあそんな感じである。
今はもうCDの時代ではなくなってきているので、
こっからの話はまた今度。
おわり。