営業時代の話①〜毎日の日経新聞の巻

さてさて

今回からポツポツと書いていこうと思う。

私が新卒で入社した不動産会社で

営業をやっていた頃の話である。

以前にこちらでも軽ーく書いたが、

(※参照※給与明細で私は救われなかったという話)

今はもうこの会社は辞めてしまったので、

継続したなりの良かったことや成長などは

得られないが、私は辞めて本当に良かったと

思っている。

そしてその全く逆に、その会社で鍛えてもらって

本当に良かったとも思っているので、

相反する”よかった”が空中を飛び交っていると

思ってほしい。Wi-Fiみたいなもんである。

そして、今回は毎日日経新聞を読んでいたこと、

そのことについてちょっと書いていこうと思う。

新聞会のしんどさ

私が勤めていた会社では、

係長以上のそれぞれの上司が

数人部下を持ち、通称「〇〇ライン」と

呼ばれる小さな集まりで仕事をしていた。

営業部内の机もそのラインごとに

1つの島を作る形で置かれ、部長の机だけ

一番前にデーーンと置かれている、という

フロア形態になっていた。

そして、普段の業務はすべて自分の直属の上長に

従い、基本他の上長にはほぼノータッチなのだが、

朝のロープレと、毎日お昼後に行われる「新聞会」

に関してだけは、他のラインとも関わったり、

合同でやる、という形がとられていた。

この新聞会が、めちゃくちゃキツい。

かつ、精神的にしんどいものであった。

要は、毎朝日経新聞を買い、

お昼までに読んでおいて、

新聞会で当てられた人間が

「この記事を取り上げます」

と言って、原油高騰なり、不動産価格上昇なり、

記事のテーマを語るのだが、

我らがやらなくてはいけなかったのは、

以下の3点であった。

・記事の内容の要約

・記事の問題点と解決法

・営業トークにどう活かすか

今書くと、落とし所は決まっているし、

普通に簡単じゃね?と思いがちなのだが、

当時の我ら新卒にとっては地獄のキツさ

であったのだ。

まず、圧倒的に「経済」に対する

バックグラウンドの知識の足りなさ。

そして、朝新聞を買って、

会社で一番早く出社しても新卒は朝の掃除

というものがあり(それも軍隊レベルの厳しさ)

新聞を読めたとしても一面をザッと読むぐらい。

基本的にはお昼の食事の時間を使って

新聞にかじりついてめぼしい記事を探す、

そして、

「簡単な記事を早く探して、

今日使える営業トークに落とし込む」

ということをやらねばならなかった。

中途半端な取り上げ方や、

意味がわかってないのに話をすると、

周りからボロクソに叩かれる。笑

なのでみんなやりたがらなかった。

日経=象形文字解読

で、日経新聞を読んだ経験がある人間なら

わかると思うのだが、

そもそも日経の基本全ての記事は

「へえ〜」とか「ふ〜ん」で

通り過ぎてしまう。

なぜかというと、

日経の記事は基本ただの現状報告か、

難過ぎて意味がわからないのどちらか

なのである。笑

例えば、3月の記事はこんな感じだ。

『日銀の黒田東彦総裁は16日、

予定を前倒しして開いた金融政策決定会合後の

記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う

日本経済への悪影響が「すでにみられる」と述べた。

感染拡大が収束に向かえば

国内需要の持ち直しや経済対策の効果が

見込まれるとしながらも、

影響の大きさには不確実性が大きいと言及。

国内の景気認識を「このところ弱い動きとなっている」

に引き下げたと説明した。(2020/3/16日経デジタルより)』

https://r.nikkei.com/article/DGXLASFL16HVI_W0A310C2000000?s=4

正直この記事自体は大して中身はない。

「みんなやばいと思ってるけど、日銀のドンも

やばいって改めて言ったよ〜!」

というそれだけの記事である。

さて、今度は5月の記事である。

これならどうだろうか?

頑張って読んでみてね?笑

『日銀は3月と4月の金融政策決定会合で、

上場投資信託(ETF)や社債など

金融資産の購入枠を大幅に引き上げたり、

金融機関に企業向け融資の原資となる資金を

有利な条件で供給するオペ(公開市場操作)

を新設・拡充したりと、

追加の金融緩和策を立て続けに決めた。

その目的について

「企業などへの必要な資金供給と金融市場の安定維持だ」

と説明した。

国債の購入については、政府の大型経済対策と

国債の増発による金利上昇圧力を見据え、

年80兆円としていた残高増の

「めど」をなくして制限なく買えるようにした。

日銀が長期金利を0%程度に誘導するため

必要な国債を買うことで、

「ほとんど自動的に財政と

 金融政策の協調が行われる」と語った。

中央銀行が財政赤字を穴埋めする

財政ファイナンスという見方については

「国債を制限なく購入することは一時的な措置だ」

として否定的な考えを示した。

物価上昇率については

政策委員会のメンバーの見通しとして

2020年度はマイナスに沈み、

21年度以降にはプラス圏に復帰するものの

伸びは鈍くなると説明した。

「2%目標を達成するにはかなりの時間がかかる」

とも語った。ただ、コロナの影響が一巡した後に

経済は再び成長に向かうため、

「現時点で日本がデフレに舞い戻るとは

 想定していない」と強調した。(2020/5/14日経デジタルより)』

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO59096720U0A510C2EE8000

みなさんの99%は途中で読むのをやめて

スクロールした方に私は10万かけてもいい。笑

まず、知識と単語の壁である。

ちょっと簡単に説明するので、

自粛中の勉強がてら、皆たま、

頑張って軽く読んでみておくれ?笑

まず、日銀の役割についてだ。

日銀の役割は大きく3つある。

1:紙幣を刷る・紙幣の流通量を調整する

2:銀行の銀行

3:政府の銀行

この3つだ。

1:紙幣を刷る・紙幣の流通量を調整する

これは皆さんがよく聞く

インフレデフレという単語に大きく関わる。

数年前、自販機のジュースはいくらで

買っていたか思い出してほしい。

 

昔120円、そのまた昔は80円で買えていたジュース、

今は130円や140円で買っていますよね?

物は同じで変わっていないのに、

値段が上昇している、これがインフレである。

逆に、今スーパーでやたらと安売りしている

カツオのタタキ、

これは今飲食店が軒並み

仕入れを控えている中、業者さんは

せっかくカツオを売りたいのに買ってくれない、

カツオが余っちゃうよ…

しょうがないから値段を下げてスーパーに売る、

我々がやたら安くカツオを食べられる、

同じことが全ての面で起きてしまう、

というのがデフレの簡単な仕組みである。

世の中に出回る紙幣の量を調整する

ために、景気が悪くなると、日銀は

みなさんの財布の紐を緩めるために、

「お金を借りやすく、金利を下げる」。

例えば、住宅ローンの金利が下がると、

「買い時!今のうちに家買っちゃおう!」

と思う人は増え、多くの人が不動産を購入し、

そこで大きな単位のお金の動きが生まれる。

要は景気が動かない状態から

回って動いていく状態になる、というわけだ。

まあこんな風に、

日銀は物価や景気の流れを

コントロールしているのである。

2:銀行の銀行

みなさんが普段使っている銀行、

これが最近の色んな会社倒産の報道のように、

ある日突然「倒産」したら、

皆さんはどうするだろうか?

「ええええ私のお金は?!返せ!!」

とみんななるだろう。

返してもらえなくなったらめちゃ困るよね。

で、そうならないように、

銀行にお金を貸したり、倒産させないように

支えるのも日銀の役割である。

3:政府の銀行

さて、今政府は硬貨を作ることはできるが、

紙幣を作ることはできない。

政治家が発券の権利を持って

政治を暴走させないためである。

そして、国家予算である。

政府は日銀に口座を持っていて、

国家予算の収入と支出は日銀で管理されている。

経済用語でよく

「売りオペ」「買いオペ」

という単語が登場するが、

「買いオペ」これは日銀が、

皆さんが普段使用している民間の銀行の

持っている債券を買って、

資金をたくさんまく、ということである。

日銀は国債というものを発行している。

会社における株券と基本的に役割は同じだ。

少し混乱しそうになるのだが、

日銀は、民間の銀行などが持っている

自身の国債を自分で買うことによって、

市場に出回るお金の量を増やすのである。

ここまで読んでから、カラーがついた部分ごとに

アホ通訳をするのでもう一度読んでみてほしい。笑

日銀は3月と4月の金融政策決定会合で、

上場投資信託(ETF)や社債など

金融資産の購入枠を大幅に引き上げたり、

金融機関に企業向け融資の原資となる資金を

有利な条件で供給するオペ(公開市場操作)

を新設・拡充したりと、

追加の金融緩和策を立て続けに決めた。

その目的について

「企業などへの必要な資金供給と金融市場の安定維持だ」

と説明した。

→みんながお金を借りやすくできるように、

 追加で買いオペと金融緩和をやるよ〜!!

 特に企業を助ける目的でやりま〜す!

国債の購入については、政府の大型経済対策と

国債の増発による金利上昇圧力を見据え、

年80兆円としていた残高増の

「めど」をなくして制限なく買えるようにした。

日銀が長期金利を0%程度に誘導するため

必要な国債を買うことで、

「ほとんど自動的に財政と

 金融政策の協調が行われる」と語った。

→国債をいっぱい出すと、

 国債を買う側はメリットがないと買わなくなる。

(金利が高くて、利子が沢山ついてくるなら買おう!)

 ということになる。金利上がるとめんどい…そこで、

 毎年残っている国債の残高の量の制限を

 ちょっと外して、国債を自由に動かしまっせ!

 で、今誰かが持ってる自分の国債を自分で買って、

 出回るお金の量を増やすよ!

 これで政策と実際のお金の流れのバランス取れるね!

 (かなり意味をはしょったが大筋はこれ)

中央銀行が財政赤字を穴埋めする

財政ファイナンスという見方については

「国債を制限なく購入することは一時的な措置だ」

として否定的な考えを示した。

→「あれ?政府の政策のしわ寄せを

  日銀がやってるんじゃない?」

 「今だけだもん、違うよ〜ん!」

物価上昇率については

政策委員会のメンバーの見通しとして

2020年度はマイナスに沈み、

21年度以降にはプラス圏に復帰するものの

伸びは鈍くなると説明した。

「2%目標を達成するにはかなりの時間がかかる」

とも語った。ただ、コロナの影響が一巡した後に

経済は再び成長に向かうため、

「現時点で日本がデフレに舞い戻るとは

 想定していない」と強調した。

→基本的にインフレをキープすることが

 景気上昇には大事なんだ!

 みんなも年々給料上がったらいい人生

 って思えるでしょ!?

 コロナのせいでこの流れが停滞するだろうけど、

 悪い方に流れるとは日銀的には全然思ってないね!!

とまあ、説明しきれてない部分はあるが、

大筋はこんな感じである。

最初にデーンといきなり読まされた時より、

かなり内容は入って来やすいでしょ?笑

最初に取り上げた3月の記事とは違い、

14日の記事はかなり読みづらい分、中身もある。

なので、こういう記事は新聞会には

使えるネタになる。

日銀の具体的な動きの記事は、

この先の経済予想につながり、

「将来安泰ですか?」

→NO

「それなら将来につながるお金、

どうやったらいいのか話しましょう」

→YES

という営業トークに持っていけるからだ。

でも、この作業を昼食中の30分で

やれ!!と言われて、

サクッとできるのは、経験と知識が

絶対的に必要になる。

まあ新人の登竜門というやつであるが、

記事の意味も正直生半可なまま

発表する、という恐怖感は伝わっただろうか。笑

ただ、社会人としての勉強には

クソほどなった。

金融の勉強は全ての人間にとって

確実にやる意味がある。

なので、今では会社に本当に感謝している。

おばあちゃんとの出会い

難しい話はここまでである。

私は毎朝、銀座駅のホームのキオスクで

新聞を買っていたのだが、

売り子のおばちゃんはかなりシニア世代で、

ほぼおばあちゃんぐらいの女性だった。

毎日日経新聞を買っていく若いスーツの女は

そんなに沢山はいなかったようで、

私はおばあちゃんと

毎日会話をするようになった。

今日は暑いねえとか、新聞がお休みの日は

今日は日経ないのよ〜、明日はあるよ!

とか、たわいもない会話をするだけ

だったが、毎日鬱手前でゲロ吐きそうになったり、

涙をこらえながら電車に乗っていた私にとっては

一瞬でも癒される時間だった。

おばあちゃんは、たまに女性誌の

余ったやつや、使わない付録を

無料で私にくれた。笑

本当にしんどくて、おばあちゃんとの会話も

ぼーっとしていた時は、

「無理しないでねえ、」と言われて

ハッとなったりもした。

私が辞職する数ヶ月前ほどに、

おばあちゃんは退職になってしまって、

もういないけど頑張ってねえ、

と言われて泣きそうになったのも

記憶に新しい。

おばあちゃんは元気だろうか。

今でも付録のポーチは捨てられずに

取っておいてある。

こんな感じで、

営業時代の話は続く!!

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